画像加工と事実改ざんの違いとは?安全な補正範囲を知ろう
- theholygrail666
- 7月25日
- 読了時間: 4分
~公共工事で信頼を失わない「正しい画像処理」とは~
◆ はじめに
現場で撮影された工事写真に、
「暗くて見えにくい」
「日付がかすれている」
「人物や車両が写り込んでしまった」
といった問題は、日常的に起こりうることです。
それらを画像処理で補正すること自体は、現代の実務では当たり前になっています。
しかし、補正の範囲を超えた加工――つまり「事実の改ざん」に踏み込んでしまえば、
公共工事では虚偽報告や契約違反として問題になる可能性があります。
この記事では、安全に認められる画像加工と、NGとなる改ざんの線引きについて、具体例を交えて解説します。
✅ 「画像加工」と「改ざん」の定義の違い
種別 定義
画像加工 写真の視認性・明瞭性を高めるための補正で、事実は変えていない処理
事実改ざん 実際には存在しない状態に写真を意図的に作り変える行為(例:構造物の欠陥の消去)
🔍 キーポイントは、「撮影時の事実に反していないか」。
加工後も、**“現場でその場にいた人間が見て納得できる写真”**であれば、基本的には問題ありません。
✅ 認められる安全な補正範囲(加工OKの例)
加工内容 解説
写真の明るさ・コントラスト調整 曇天・逆光時の補正は視認性向上のため許容される
看板文字の読みやすさ向上 元の文字が消えておらず、文字の形状を変えていなければOK
スケールの明瞭化(ぼやけた数字の補足) 同様のフォント・配置で、元の寸法が変わらない範囲なら安全
不要な写り込み(人・車)の削除 施工内容の核心に影響がない場合(背景処理が自然)
傾きの補正 水平・垂直を整える補正。構図の理解を助ける目的であれば許容される
❌ 不適切または違法となる可能性がある改ざん(NG例)
加工内容 なぜNGか
施工ミス・欠陥部の削除 現場の実態を意図的に隠しており、虚偽報告・検査妨害に該当する
別の日に撮影した写真へ日付を合成 実際の工程記録と異なり、「証拠写真」として成立しなくなる
本来写っていなかった施工内容を追加合成 現場では未施工の内容を“あるように見せる”行為は、契約違反・詐欺にあたる可能性あり
看板内容(工事名・工種など)の勝手な書き換え 発注者情報や契約範囲を変えることになり、重大な情報改変となる
📘 公共工事における国交省の見解(要約)
「画像の明るさ、コントラスト等の補正は、視認性確保のため許容される。
ただし、撮影内容そのものを変えるような加工は禁止する。」
🔸つまり、「誰が見ても分かるようにするため」の補正はOK
🔸「なかった事実を“あるように見せる”加工」はNG
✅ 安全な画像加工のチェックポイント
チェック項目 OK / NG判断の目安
補正によって事実が変わっていないか? ✔ OK(明るさ補正など) / ❌ NG(削除・追加)
施工の証拠として矛盾が生じていないか? ✔ OK(スケール補強) / ❌ NG(サイズ改変)
元画像と比較して不自然な変化はないか? ✔ OK(自然な処理) / ❌ NG(フィルター過剰)
加工理由を説明できるか?(検査官・発注者への説明用) ✔ OK(視認性向上のため) / ❌ NG(説明不能)
📝 実務で使える「画像加工報告書」の導入を推奨
公共工事・設計監理者とのやりとりでは、
加工内容を以下のように記録・共有することで、トラブルを防げます:
修整前画像・修整後画像をセットで提出
修整箇所の内容・理由・使用ツールを記載
修整後ファイルにはExif保持&ファイル名で明示(例:〇〇_補正済み.jpg)
◆ まとめ:「見やすくする」はOK、「事実を変える」はNG
画像修整は、現場と発注者の意思疎通を円滑にするためのツールです。
しかし一歩間違えれば、改ざん・虚偽報告・契約違反と判断されかねないリスクもあります。
✅ 加工の目的は“視認性向上”であること
✅ 内容が事実に即していること
✅ 元画像・修整履歴を残しておくこと
これらを徹底すれば、安全に・正確に・誠実な画像補正が可能です。
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